少年たち(2019)

1969年の初演以来数々のジャニーズが出演してきた舞台。2015年からはSixTONESSnowMan主演となっている舞台の映画化。少年たちTo be!が絶賛公演中で、関西では関西ジャニーズJr.が出演してやっている…けれど私は関ジュの現場に明るくないのでわかりません!*1
スノスト*2による少年たちは2017年と2018年のものだけ観たことがあるんですけれど、ストーリーとしては舞台と映画では異なります。舞台版のストーリーが個人的にすごく好きなので最後にそっちの話もしたいと思います。

映画は横山裕演じる看守長が川崎皇輝演じる息子と飛行機に乗っているシーンから始まります。窓から見える旧奈良監獄。そしてちらりと映る薬…看守長あまり具合が良くないみたいです。

時は遡ること2012年京本大我ちゃんが監獄に連れられてきます。こんな顔して怖いお兄さんを殴って逮捕されたみたいです、世知辛い世の中。同室はジェシーとコーチ、ジェシーはみんなのリーダーらしい。
看守たちの目を盗んでライバルたちと喧嘩する日々。俺たちは上等!借りただけ!元気いっぱい雑巾掛け!可愛い!見所は全力雑巾掛けで暴れる森本慎太郎くん!!!!
取り乱しました。
なんだかんだ楽しく(?)過ごしていたスノストと関ジュだけれど恐怖の看守長横山くんがやってきます。なんでもみんなは弱いらしいです。顔は強いのにね…。横山くんは昔受刑者たちから暴行を受け足を負傷し、その経験からかかなり厳しく指導してきます。そして弛んでいた生活が厳しくなり…そんな中でも果敢に殴り合うスノスト!ジェシーの辛い幼少期の記憶!親との確執!のちのち明かされる重度の癌!重度の癌?
もちろんほかの人たちも色んな経験をしてここに来たことがわかります。戸籍がない森本慎太郎くん…そんな彼に勉強を教えてあげている松村北斗くんはバレー部のエースアタッカーで成績優秀だった刑務所にいるはずもないタイプの人間ですが、祖母の介護で追い詰められているところに教師から生活態度を叱責され衝動的にハサミで刺してしまったという…北斗くん悪くなくない?先生悪くない?北斗くん悪くないよ!!!!あとは虐められていて虐めっ子を原付で引きずり回したコーチとかですね。
共通の友達の死があり顔を合わせるたびに喧嘩していたスノスト(のリーダーの岩本照とジェシー)ですが懲罰房に入れられた時の会話から少し心が通います。さよならとお別れのあいさつを言うかわり…うっうう…涙が…。
なんと驚いたことに既婚者かつ妻が妊娠中の受刑者がいました、ふっかです。出産が近づき不安になる妻にどうしても会いたいふっか。そして母親が重度の(?????)癌であることを知ったジェス。2人の思いが重なりスノストは脱獄して2人をそれぞれ妻と母親に会いに行かせることにします!まじでか。そんな中関ジュたちには病弱だった室龍太の死が告げられたのだった…Happy!!!!!!
新月の夜ついに脱獄計画は実行されます。協力し合いながらふっかとジェスをとにかく逃がそうとするスノストとモブおじさんたち。なぜかふっかだけでなく他の人を先に行かせて捕まるジェス。なんでや!お母ちゃんに会うんちゃうんか!
もうあとは壁を越えれば…!というところまで来たところで京本大我ちゃんが高いところに登り看守の目を逸らします。ふっかが無事壁を越えて脱獄成功したころ危ないから助けようと同じく登ってきた看守に驚いた京本大我ちゃんは足を滑らせ…。救急車だ!と叫ぶ優しい看守。スノストみんなに見守られ京本大我ちゃんは息を引き取ります。
翌朝のみんなは寂しさを滲ませます。何かが足りない…何かが…京本大我が足りません。
妻と生まれて間もない子どもが休む病室にたどり着いたふっか!笑い合う2人の後ろには警察がいます。妻の気持ちを考えると夫をぶん殴りたくなるシーンです。
数年後、ジェシーが奈良監獄を去る日になりました。あの横山くんが笑顔で見送ってくれます。何があったのか、そしてジェシーの母親はどうなったのかわからないまま、ホテルに改装された奈良監獄に横山くん親子がやってきます。
そして始まる煌びやかなショー!!!!!見ごたえ抜群で、海外からのゲストも楽しんでいます。ホテルスタッフとして働くコーチや他の人たちも更生し懸命に生きている姿が伺えます。鹿に追い詰められている人もいます。
京本を失いながらも歩みを止めず生きる少年たち…彼らの輝かしい夢は終わらないのです…。

エンドロール!こっからが本番!死んだと思った室くんも出てくるし冒頭のワンカメショーの愉快バージョンが見られます!楽しい!すごい!君はラウールを見つけられたかな?私は見つけました!ちなみに目黒蓮は「俺出てない」です!

ミュージカル映画(?)なので所々に歌と踊りが入るのですがストーリーとリンクしているわけではなかったり結構難しいです。台詞回しがおかしかったり言葉の使い方が間違っている(重度の癌)部分とあるのですが、それでも演じきる姿に心打たれます。ショーのカタルシスもあります。ジャニーズの入門書として履修してみるのもいいかもしれません。

本題であるところの舞台版のストーリーですが私の見た2年間だと脱獄というのではなく戦争がテーマにありました。ライバル関係にあるスノストが心を通わせていく中、アメリカ人と日本人のハーフであるジェシーに徴兵の知らせが届きます。友に背を向けて戦地へ行くジェシー
脱獄することなく刑期を終えたそれぞれはカメラマンやパフォーマー(?)になっています。日本で起こった戦争について知識を深めていく彼らと観客である私たち。
カメラマンになったふっかと北斗くん(兄弟)はジェシーがいる戦地の前線へ行くことになります。そこで人を撃つ、仕事を全うするジェシーの姿を目にします。そして悲しいことに目の前で撃たれるジェシー。大切な友を戦争により失う少年たちの心の痛みは計り知れません。
確か2017年の方だったと思うのですが、戦争についての話の流れで空襲から逃げ惑うふっかと北斗くん兄弟というシーンがありました。やっと見つけた防空壕は満員でどうか弟だけでもと北斗くんを入れてふっかはさらに逃げます。橋の下に隠れて過ごし、弟の所へ戻るとそこには力尽きた弟の姿があるだけでした。
私はSixTONES松村北斗くんが大好きで北斗くんにはいつも楽しく笑っていて欲しいのです。その北斗くんは、話の中とは言えど空襲に怯え、逃げ惑い、安全なはずの防空壕に身を潜め、そして死んでいました。日本でフューチャーされがちな特攻隊のようなエピソードもなく、北斗くんは生きようと逃げようとして死んでいきました。そんな経験を北斗くんに、ジャニーズに、自分を含めた今を生きる誰にもして欲しくはありません。ジェシーのように友が人を仕事といえど撃つ姿など見たくはありません。彼らの手にはマイク、立つ場所はスポットライトの当たるステージであってほしい。

少年たちの美しいパフォーマンスを見ながら、エンターテイメントを楽しいと、美しいと、政治的利用されることなく純粋に楽しめる世界が続くことを願うばかりです。

*1:28日に終演しました。ありがとう日生劇場

*2:SixTONESSnowMan