鑑賞記録 #ヒメアノ〜ル 2回目

何度でも言うけどパンフレットは終わってから開いてね。
もう観ないと言ったな、観たわ。何なら会社飛び出して猛ダッシュしたわ。観ないと爆発しそうなくらいヒメアノ〜ルが頭から離れなくて、一呼吸なんておいたら勇気が無くなるから勢いだけで文字通り映画館に駆け込んだ。

以下やっぱりネタバレあり。












「死ねって言ってんだろ!!!!」CMだと森田が誰かに(包丁突きつけてる相手)に言ってるように見えるんだけど実際は頭の中の声で。森田は言葉で殺意をぶつけないし殺意もあるんだかないんだかよくわからない。
それこそ「どけ!」って言ってんのにどいてくんないかは殺すか、くらいの感じ。手に包丁があったから殺しただけで何もなかったらボコられもする。短絡的な思考の殺人はまさしく素人で、例えば悪の教典でのハスミンのような滑らかさはない。*1そうやってそこら辺にいそうなのは日常と狂気の紙一重さの演出だと思ってたけど、森田が普通の人間であることを示してる。監督がそうしたとかじゃなくて、私には。
昨日の夜ツイートしたんだけど、岡田と窓から落ちて警察が来て「近付いたらこいつ殺すぞ!!!!」(あれ…言葉で殺意ぶつけてる…?)って言いながら岡田引きずって車で逃げるシーン。ここの森田がすごく好きだ。よく考えればこんな表情豊かな森田はそこまでにいなかった。岡田の言葉に「うるせー!」って叫んだり言われたことに対して包丁を向けたりしなかった。追われることの意味も追い詰められている焦りもなんだか違う、森田のあの時の感情は何?
順当に考えれば岡田の言葉で優しかったはずの森田が姿を現した、なのかもしれない。けど私は最後のシーンは森田の回想(走馬灯)では無い気がする。根本には犬を大切にする気持ちがあって犬を避けて事故して昔の森田が出てきたとしても、それは出てきただけで私たちに森田も同じ人間だったと示してるだけなんじゃないか。
だって、あの夏の記憶は誰にでもある。初めて話す人との会話も友達と並んで遊ぶことも、親に麦茶強請ることも。
ふと「あ、森田って運転できるんだ」って思った。もしかして、東京に出て普通に暮らそうとしたんじゃないの、森田は。森田の家には鍋も包丁もあって、ただ灯油もあるけど。だから殺人まで行かないでも何か罪を犯しながら過ごしてきたとも思えるけど、もしかしてやり直そうとした瞬間もあったんじゃないの。そうやってもパチンコ帰りにボコられたように、どうしようもならなかったのかな。
最初に安藤さんが言う「不満や不安がない奴なんていないんだから」はその通りだけどそれしかないと、そこから幸せになる方法がわからないんだよね。森田がそこに教室で自慰させられた時点で辿り着いたのかいつなのかわからない、もしかして、もう一度やり直したかったの?って思ってしまって怖かった、森田の過去を気にしても何にもならないのに。
私は、森田は岡田のこと、覚えてなかったと思った。森田は流れるように嘘をつく。お前いたっけ?あの時に、あの教室に、あの高校に。そうじゃないと辛い、裏切られたことを覚えてないのに家に遊びに来てくれたことは覚えてるなんて私が辛い。
「また遊びに来てね」って言った時の森田の笑顔を私は28日には見れてなくて。なぜなら顔を覆って号泣してたからなんだけど。今日は観て。こんな笑ってるって知らなくて。逃走も含めてきっと元々森田は表情豊かだったんだろうね、みんなそうか、みんなそうなのにどこかで何かがおかしくなってくんだ。
安藤さんもおかしい。森田と同じように何度も同じこと繰り返すし*2森田と安藤さんチェックのシャツ着てるしユカちゃんジロジロ見てるし、岡田とユカちゃんはパーカー多いのに2人シャツだし、これ気にしすぎなのわかってるけど…。
でも安藤さんは森田にならない。そばには岡田とユカちゃんがいるし、変なことしたら反応してくれる社長もいる。
岡田がユカちゃんにローター使うの断られて拗ねて「嫌いにならないで…」っていうとユカちゃんが抱きしめてくれる。
森田には誰もいない。映画では何も語られてないけど雑誌で家族のことも背景にあるって読んだし、和草くんの親が学校辞めることを許さなかったようにそういうことがあったんだと思う。いじめられてる時の2人は透明人間で、誰も守ってくれなかった。私が同級生でも、川島にやめろよって言えなかっただろうな。罪を犯して突然現れた15歳の森田くんは抱きしめてあげたくて守ってあげたくてどうして誰もこの子を守ってあげなかったのって責めるのに、いざ自分がその場にいたら何もできないんだからなんで無責任な愛情なんだろう。
理解者とかそばにいてくれる人って誰にでもいると思いがちだけどそうじゃないし、親が一番の理解者だなんて、幻想だし、でも親すら救ってくれないなら森田くんはどうすればよかったのかな。
一生幻聴と過ごしていけばよかった?どうすればよかった?岡田と再会しなければ誰ももう殺さず絶望していた?
なんなの、この映画なんなの、私はなんなの、なんでこんなに泣いてしまうの、わけがわからない。
考えてるけど、感じたことが多すぎて言葉にできない。何かを感じる作品だよ。
でも結局最後は森田は私だったかもしれないし私は森田になるかもしれないってことだ。今日も、なんであんなに泣いたのかはわからなかった。わからないから、また観に行く。最後までわからなかったらDVDを買おう。森田を救えない私は、森田にならないために森田のことを考え続けよう。
ユカちゃん今日も可愛かったー!!!!!!!!


*1:同じようなサイコキラーものって悪の教典しかみたことないです…

*2:「すいません」