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歪んだ世界でどう生きるか、図書館戦争

 

こんにちは。先週の水曜日の話ですが、舞台挨拶から一夜明けても熱量納まらず3回目の図書館戦争THE LAST MISSIONに行ってきました。キアヌ・リーブス主演の「ジョン・ウィック」が公開されたため一番大きいスクリーンでは無くなってしまっていましたが、まあ1回目ほぼ満員、2回目満員という状況で観ていたので左右空いた状態で観れたおかげで集中することはできました。

3回目を観た感想を残したいと思います。映画のネタバレがありますのでご注意ください。また、話の中で図書館戦争シリーズおよび別冊の内容についても触れています。こちらについてもご注意ください。

原作読んでない方はぜひ読んで欲しい~~~!!!

図書館戦争 図書館戦争シリーズ (1) (角川文庫)

図書館戦争 図書館戦争シリーズ (1) (角川文庫)

 

 映画1作目は1巻の内容です。今作は2・3・4が混ざってます。

ちなみに私は映画、図書館戦争を見てから原作を読みました。*1映画を観るまではあらすじすら読んだこともなく、高校の図書室におかれていたPOPを見ては図書館で働く人の恋模様…ああ、恋の戦争が始まってるんだな、なんて認識でした。

ですから、1作目を観たときには堂上教官のあまりの怖さに震え、原作を読んでは映画以上の甘い恋愛模様に悶絶し、また映画よりたくさんの日常シーンそして事件を楽しんでいました。

 

①堂上教官の描かれ方

みんな大好きかっこいい堂上教官ですが、前作と今作の違いは郁ちゃんの前でも笑顔を見せることだと思っています。レストランからの帰り道、ヒールを履いたせいでいつもよりさらに堂上教官より背の高くなってしまった郁ちゃんが「脱ぎましょうか?」と聞いてきて、思わず笑ってしまう。前作ではテントの中で会話したときにふと笑顔を見せるだけだった教官ですが、今作の時点ではきっとこの少しズレた郁ちゃんの言葉に笑顔を見せているんだろうなと想像できます。

アクションシーンについては様々な媒体で「郁にとっての王子様としては描かれていない」と言われているように、かっこよさを表現するものじゃなくなっているんですね。これはたぶん日常シーンでも同じことで、だからなんだっていうとそれだけ堂上教官と郁ちゃんの関係が「王子様」から離れていっているということなのかなと思っています。

原作では手塚慧によって堂上教官が王子様だと教えられ、郁ちゃんは困惑します。この葛藤が描かれなかったのは少し残念でしたが、映画だと前作の最後で郁ちゃんは「王子様の前に堂上教官を目指す」と宣言しているんですね。少し無理やりかもしれませんが、私はこの時点で映画の笠原郁は「王子様」から卒業したのではないかと思っています。王子様の前に堂上教官が来ることで、原作にあるような「王子様が好きなのか堂上教官が好きなのか」という部分が無くなり「尊敬する上官」に飛ぶ…?もしかしたら描かれていないBOOK OF MEMORIES~THE LAST MISSIONの間で何かやらかしたのかもしれないけど…。

 

王子様から卒業した堂上教官が私はすごく好きです。必要以上に郁を守るわけでもなく*2、あとにも書きますが「1人の隊員として郁を扱う」堂上教官がすごく好きです。

ただ、茨城に移動する車でのアロマオイルのやりとり!!!!あれなんで!?!?!?「必要ない」って…「必要ない」って!!!!!!!!普通に受け取れよ急にツン要素強めないで!?!?!?なんだかあそこだけ急に前作の堂上教官みたいでした…。顔は変わらなかったけど、郁ちゃんの「…柴崎と行こうかと」に絶対内心めっちゃしょんぼりしてる。俺が必要ないとか言ったせいかなってちょっと落ち込んでる可愛い食べる。

 

 

②一人前になった笠原郁

確か何かのインタビューで岡田さんは「図書館戦争は笠原郁の物語」だと話されていました。私もそう思っていて、前作の郁はまだ「王子様」への憧れだけがある未熟な隊員でした。だから堂上教官も王子様として描かれていて、そしてその甘さ*3から堂上教官は郁ちゃんを辞めさせたがるし戦線からも退けようとしています。堂上教官の描かれ方が変わったのはすなわち郁ちゃんが変わったからだと思っていて、未熟な隊員ではなくて、図書隊の一員になっています。上官と部下の関係はあるものの、王子様期を終えて人として対等にいるからこそ今作でのニヤニヤが止まらないようなシーンが違和感なく描けるし、物語終盤で美術館へ本を届けに行く堂上に「私も連れて行ってください」が郁ちゃんは言えるし堂上教官も頷けるんじゃないかなあ。あそこで頷くのは堂上教官が郁ちゃんを認めているからで、その後の本屋さん*4のシーンでの「もう俺がいなくても大丈夫」につながるんだと思います。*5

原作だとここで堂上教官の階級章*6を借りて郁ちゃんは進むんですが、映画だと言葉をもらって終わりです。安心させるための言葉と行動ではあるんですが、このバッジを貸さないことで映画の郁ちゃんは本当に自分の力で走っているんだなと私は観てて思いました。もう「王子様」も堂上教官もいなくても走れる郁ちゃんだからこそ出会ったあの日は守られていた郁ちゃんが座っていた場所に、今はもうこれ以上動くことができない堂上教官が座っていて、この世界に立ち向かう(走る)郁ちゃんを見てるのではないでしょうか。立場がただ逆転しているのではなく、王子様の行動を真似するだけだった前作の郁ちゃんとは違って、郁ちゃんにとっての王子様の存在が堂上にとっての郁ちゃんですいません何書いてるかわからなくなった。このシーンすごく好きです!はい終わり!

これ次観に行くときにもう一回確認したいんですが、映画だとあまり*7堂上教官の階級章が写らないんですね。そもそも戦闘服の時は見えないんですけれど、制服を着てるシーンでも郁ちゃんはよく右側から写っているのに教官は左腕ばかり見える。さすがに意図的だと言い切れないんですが、私はそこに注目して観ていたので「階級章を貸さない」ことからわざと映らないようにしてたのかなあなんて思ってしまいました。

 

この前作→今作で一人前になった郁ちゃんという前提があるからこそ、舞台あいさつで岡田さんが言っていたように「続編があるなら僕が一人でやっていたようなアクションを郁がしないといけない。成長した郁をみせないといけないから」なんだと思います。もう一人で走れる郁ちゃんは次があるならどう進むんだろうか。見たいよう。ぜんぜん、別冊のあれでも私はもう、ぜんぜん、はい。

別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)

別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)

 

読むべし。原作1~4巻読んでからのほうがいいと思います。

ちなみに全6巻とも単行本で買うと描きおろしストーリーが読めます。私は3巻の「ドッグ・ラン」が好き!

図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)

図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)

 

 

 

 

 

③手塚兄弟

手塚慧は弟を想っているんだけど、それは弟には通じていない。

レストランで「電話に出て『私を助けるために図書隊を辞めてくれ』と言ってほしい」と言う慧に対して郁ちゃんは「手塚が知ったら傷つくからできない」と言います。これに対して慧は「図書隊にいるほうが傷つくんだよ」と答えます。

郁ちゃんは心の話をしていて、慧は*8身体的な話をしています。もちろん、変わらない現状、悪化する状況の中に身を置くことで傷つく手塚光の心も思っているのかもしれませんが大部分は身体的な話なんじゃないでしょうか。そういった差がこの二人にはあって、だからこそ慧曰く「さほど本が好きなわけじゃない」手塚は図書隊で頑張ってるんじゃないのかなあ、とか。

私は『未来企画』のやり方*9には全く賛成できないし好きじゃないけど、でも手塚慧というキャラクターはすごく好きです。光との行く末もちゃんと見たいし、4巻図書館革命での動きも好きです。かっこいいところまた見せてほしい次回作くれ!!!

図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)

図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)

 

 My best 手塚慧な図書館革命。郁ちゃんと堂上教官は映画とは少し違う終わり方をします、読むべし。

 

 

④堂上教官と郁ちゃんが可愛い

査問後、タスクの事務室に戻ってきた郁ちゃんと堂上教官。退院後、図書館で追いかけてくる堂上教官と郁ちゃん。ここってセリフと行動が対比?対比っていうか同じにしてありますよね!?

「待て」「戻れ」で命令して言うこと聞いちゃう郁ちゃんと、前者では泣いて、後者では嬉しくて顔を手で覆っちゃう郁ちゃん。

もう大好きですこのシーン。可愛すぎる、二人纏めてぎゅってしたい。

すごく言いづらそうに「連れてけ」っていう堂上教官も「柴崎を?」とか言っちゃうおとぼけ郁ちゃんも「俺だ!」って怒る堂上教官も言い出したらきりがないですがここのやり取りすべてにこのカップルの可愛さが詰まってますよね。もはやここ見るために映画館通ってるところあるわ。

 

 

以上が私が思ったキャラクターを中心に見た今作の映画だったんですが、じゃあこの映画の言いたいことってなんだろうと考え始めました。

すべての感想に言えることですが個人によって感じ方の違うもので、私にとってこのTHE LAST MISSIONは仁科が言った「歪んだ世界でどう生きるか」だと思っています。そしてこの映画に出てくる全員受動的ではなく「どう生きるか」を考えている。*10手塚慧だってそうで、映画を観ていてもしかしたら「悪役じゃん!」と感じた方もいるかもしれないですが、彼だって図書隊員として戦ってきた過去があってあの考えに至っています。とても印象的な慧が運転する車から見る街の風景。茨城では図書隊員が命がけで戦っているのに誰も気にしていない。慧はそこで、図書隊員とは違う道を選んだだけで、彼だって検閲を無くしたいと思っているしただ図書隊が憎いだけじゃないはずです。慧の取る方法によって守れない本も出てくるけど、そうすれば図書隊の防衛部も良化隊も傷つかなくて済む。逆に行ってしまえば図書隊の防衛部が検閲に対抗し続けるだけじゃ無関心は変わらないし良化隊の検閲もやっぱり慧が言うように厳しくなるだけにも思えます。

この無関心については原作4巻で描かれている事件での世間の反応でも見えるんですが、本が好きじゃなかったら*11そこがいくら規制されようが値段が高くなって*12買えなくなろうが問題ないんですよね。

「図書館で本を読むために戦争をするという世界観がよくわからない」と友人に言われました。例えば本を読まないなら、例えば映画を観ないなら、確かに共感しづらい世界観なのかもしれません。それこそが今作の映画であれば抗争に興味のない一般市民であってメディア良化法の成立を許した背景なんです。当たり前に保障されているからこそ幸せなのでしょうが、だからこそ戦わなければそれを守れない瞬間があると想像できないのは恐ろしいことだと、私は思いました。

 

でも規制することで守れるなにかもあるんじゃないかなあと思ってしまう自分もいたり。映画だと良化隊の隊員は口元を覆っているし喋らないし、彼らの主張ってよくわからないんですよね。図書隊側から見た物語だからやっぱりすごく横暴なやり方で、本を読む側からしたら「なんじゃこいつら」みたいなもん。良化隊の言い分が描かれていないことについてあとがきで有川さんは「敢えて書いていません。その理由もここでは述べません」と言っています。映画だと余計に言い分が分からない…というか折口さんの部下(いつもカメラ持っている人)が抗争を見ていった「何でここまで!」の答えがどこにもないんですよね。私はこれがちょっと残念だなと思っていて、なぜなら原作だと茨城県展での抗争は良化隊のプライドによるものだからなんです。

シリーズ第3巻図書館危機で描かれているものです。展示されるのは本ではなく

 最後の一枚、カラーで差し込まれていたのは絵画だ。しかも普通の油絵ではなくコラージュであることがコピーされた写真からも分かる。

 背景はコンクリートを打ちっぱなしにしたような壁だった。その中央に貼られているのは、着崩してすり切れたふうに加工してある良化特務機関の制服である。そして、その前の身頃が大きく切り裂かれ、その咲かれた穴から向こうにのぞくのは青空の写真だ。

 タイトルは『自由』

 というものです。私は良化隊は大嫌いですけれど、このストーリーがあったからこそ良化隊にも信念があってプライドがあってやってるんだろうなとは想像することができました。でも映画だとそれはきっと伝わらなくて、カメラマンからの「何でここまで」に答えは無いままになってしまいそうな気がします。「図書隊を潰せるから」でもいいような気がしますが、うーん。

良化法の成立背景としてさっきあげた無関心のほかに、当時の報道状況が挙げられています。投げっぱなしの情報は悪意を生みかねないものだし、良し悪しの判断を視聴者に丸投げすることも、どちらかの意見しか流さないのも良くなくて、だからこそ私はこの「良化隊の話」がすごく大事だと思ってました。別冊Ⅱで緒方副隊長(玄田隊長の後ろにいつも立ってる人)のストーリーがあるのですが、彼は実は元良化隊です。公務員試験を受けたら良化隊配属になったというパターンで*13特に何も考えてないけどなっちゃったって人もいるんです。だから一概にこの「良化隊のプライド」というものが全員にあるとは言えないけど、ただの悪役として良化隊を見てしまう人がいるのはもったいないなと思いました。

仁科の「守るべき価値のあるもの」というのは「歪んだ世界」つまり良化隊と戦い続ける図書隊がいるこの状況に対してですけれど、じゃあ私たちにとってはどうなんだろうか。

例えば良化法で守れるものもあるから、表現の自由を捨てて綺麗なものだけ残していくべきという人もいるし、戦う人もいるだろうし。

表現の自由ってすごく難しい問題で、今年の1月にあったシャルリー・エブド襲撃事件でもよく耳にした言葉でした。*14これに対してたくさんの意見があって、真反対のものもありました。表現の自由で守られているあらゆるメディアってこういう風に意見が分かれるものだけど、だからこそそこでどう生きるか、自分の意志はしっかり持っていたいと考えさせられました。郁ちゃんのように守りたいものかかえて走るのもいいし、手塚慧のように世界を正そうとしたっていいし、良化隊のやり方もいい。*15

 

 

さすがに映画館でメモ取りながらは見れないので、結構セリフも自分の頭の中で変わってそうだし解釈見るたびに変わりそうだけどいったん置いときます。

私は原作読んでるけど昔からのファンじゃないしそもそも映画から入った人だから「何言ってんだこいつ」みたいなのあるかもしんないけどそんときはすまんな!!!もっとみんなの感想読みたい~~~!!!!

あと今思ったんですけど学校の図書館ってどうなってるんだろう。文系なんてとくにメディア良化法で規制された文献ばっかりになりそうだけど…?

 

とにかくいまもう7000字近く書いたんですけど何が言いたいかって図書館戦争大好き!堂上教官と郁ちゃんはよ結婚しろ!!!!!わー!!!!!

*1:アニメは観てない

*2:前作の作戦から郁だけ外すとか辞めさせたかったこととか

*3:と、守りたい心?

*4:堂上教官と郁ちゃんが出会った本屋さんだって気づいたときはすごい興奮した

*5:「大丈夫」の言い方が優しすぎて97回くらい死んだ

*6:映画だと右腕に縫い付けられてるんですが、原作だとバッジです

*7:私の感覚

*8:抗争がおこることを知ってるので

*9:特に映画の!

*10:郁の場合は写真の下に書いてあった文章が当てはまる

*11:あらゆるメディアが検閲される世界ですがとりあえず本

*12:この世界だと部数が刷れないので本が高くなってます

*13:そういえば公務員になるんだな

*14:ここへの意見はクソ長くなるから省くけど

*15:良化隊のやり方は臭いものに蓋してるだけだと思うけど